トレンドの変化の検出では、微妙ながらも長期間にわたって見受けられる重要なデータの傾向の変化を表示します。データの変化を検出するという点で、異常検出と類似していますが、主な違いは、異常検出ではデータの急激な増減がハイライト表示されるのに対し、トレンドの変化の検出では長期間にわたるより微妙な変化がハイライト表示される点です。
Google アナリティクスでは、こうした変化がホームページの [分析情報と最適化案] セクションにあるインサイト カード、レポートのスナップショットと広告スナップショット、インサイトハブに表示されます。
トレンドの変化の把握
トレンドの変化につながる可能性のある変化は多岐にわたります。予測可能で、想定どおりの変化もあります。このような場合、特に対応は必要ありません。たとえば、新しい広告キャンペーンを開始すると、収益が徐々に増加する可能性があります。その場合、アナリティクスではそのトレンドの変化がキャンペーンの開始日として検出されます。
重要な指標が下降傾向にある場合など、予測できず、さらなる注意が必要な変化もあります。たとえば、最近ウェブサイトのコードを更新したことで、ウェブサイトの登録ボタンが機能しなくなったとします。アクティブ ユーザー数がすぐに減少しなかった場合でも、時間の経過とともにユーザー数が減るため、成長率は停滞します。アナリティクスではこの変化が検出されるため、サイトに必要な調整を加えることができます。
仕組み
特定の指標の時系列データの傾向の変化が特定されると、その変化が発生した日付に円がオーバーレイされます。円にカーソルを合わせると、以前と現在の変化率や、トレンドの変化が発生した日時など、変化の詳細を確認できます。
また、インサイト カードの下部にある [レポートを調査] をクリックして、データをさらに詳しく調査することもできます。このボタンをクリックすると、同じ期間、指標、ディメンションが適用されたより詳細なレポートが表示されます。期間を調整したり、他のディメンションを比較したり、ディメンションの内訳を追加したりして、トレンドの変化を調査できます。
検出される変化の種類
トレンドの変化の検出では、予測された値が実際の値と異なる場合にトレンドの変化を表示します。これはトレンドが以下のように変化した場合に起こります。
- 増加から減少
- 減少から増加
- 大幅な増減
- 小幅な増減
トレンドの変化に関するトラブルシューティング
トレンドの変化の発生時にウェブサイトやアプリに変更を加える前に、まず、それが想定どおりの変化かどうか、想定外の変化の場合は何が原因であったかを検討することが重要です。想定どおりの変化または前向きな変化であれば、変更を加える必要はありません。
トレンドの変化が生じた理由としては、以下のようなことが考えられます。
ビジネス サイクル
従来のビジネス サイクルは、想定どおりのマイナスのトレンドの変化につながる可能性があり、通常、トレンドが妥当な範囲から外れない限り、特に注意を払う必要はありません。たとえば、e コマース ウェブサイトの場合はホリデー シーズンの終了、ゲームアプリの場合は新学期の始まりなどがこれに該当します。
アナリティクスのプロパティへの変更
プロパティの構成を変更すると、トレンドの変化が生じる場合があります。[管理] の [プロパティ] で [プロパティの変更履歴] をクリックし、トレンドの変化より前に変化が生じていないかを確認します。詳しくは、アカウントまたはプロパティの変更履歴を表示する方法をご覧ください。
ウェブサイトまたはアプリへの変更
ウェブサイトまたはアプリを正しく設定していなかった場合、マイナスのトレンドの変化が生じることがあります。以下に例を示します。
- 待ち時間(またはページの読み込み時間)の増加やサーバーの過負荷などの技術的な問題。
- robots.txt、sitemap.xml、SSL など、ページのメタデータの設定が不足しているか、間違っている。検索エンジンでは、メタデータを使ってページの掲載順位を決定しているため、メタデータの設定に誤りがあると、オーガニック トラフィックにトレンドの変化が生じることがあります。
- 広告キャンペーンが効果的に設定されていない(有料トラフィックでのみトレンドの変化が発生している場合)。
アナリティクスによるトレンドの変化の検出の仕組み
アナリティクス インテリジェンスでは、時系列にシグナル セグメンテーション アルゴリズムが適用され、トレンドの変化が発生したかどうかが検出されます。このモデルでは、時系列が複数の要素に分割され、各要素のデータで類似したパターンが共有されますが、要素ごとに異なるパターンが使用されます。2 つの要素間にある境界ポイントが、トレンドの変化としてレポートされます。
通常、変化を検出するためのトレーニング期間は、日次データの場合は約 90 日間、週次データの場合は約 32 週間です。