Google Workspace Domain Transfer ではユーザー アカウントの統合やアカウントの重複除去をサポートしていません。このような状況は、合併と買収(M&A)の際に、買収した企業のユーザーが、買収先の Google Workspace 環境で 2 つ目のアカウントをプロビジョニングする場合に発生することがあります。
ID を調整して、最終的に各ユーザーが Google Workspace アカウントを 1 つだけ使用できるようにする場合は、移行プロセスの完了後に追加の手順を実施する必要があります。
この統合ガイドは、2 つの Google Workspace アカウント(移行元の環境と移行先の環境に 1 つずつ)があり、Domain Transfer の使用後に移行先でこれらのアカウントを統合するユーザーを対象としています。
準備
ユーザーのメインのデータ(メール、カレンダーの予定、Google ドライブ、サードパーティ製アプリへのアクセスなど)がどちらのアカウントにあるかを把握することが重要です。このアカウントが、統合の完了後にユーザーが使用するアカウントです。
このシナリオでは、ユーザーが過去 3 か月間に、業務用に主に 1 つのアカウントを使用していることを前提としています。ユーザーが両方のアカウントを異なる方法で使用していて、どちらにも新しいデータがある場合、この方法は適用されないか、部分的にしか適用されません。
移行元と移行先のユーザー アカウントをマッピングする移行元と移行先で次のようにユーザー アカウントをマッピングします。
どちらのアカウントがユーザーの「メイン」アカウントなのかを特定します。次のような方法があります。
- M&A の性質を理解する。多くの場合、重複するアカウントは特定の目的でプロビジョニングされたもので、使用頻度は高くありません。
- ユーザーに確認する。
- Google Workspace アカウントのユーザー レポートを使用して、以下のさまざまなアプリケーションの使用状況の概要を確認する。
- ユーザー アカウントのステータス
- Gmail の使用容量
- ドライブの使用容量
- 合計使用容量
- 合計メール件数
- 編集されたファイルの数
- 閲覧されたファイルの数
- ドライブ - 最終オンライン時刻
- Google Workspace のメールログ検索を使用して、過去 30 日間のメールの使用状況を詳しく分析する。
- 1 時間前~7 日前の間に送信されたメールか、指定の期間(過去 30 日以内)に送信されたメール
注: 31 日以上経過したメールの検索結果には、配信後のメールの詳細のみが表示されます。 - 配信後のメールの詳細には時間的な制約はなく、常に保持されます。
- ドメイン内の Google Workspace ユーザーが送受信したメール
- Google グループのグループに送信されたメッセージと、Google Workspace ユーザーを含むその他のメーリング リストに送信されたメール
- 1 時間前~7 日前の間に送信されたメールか、指定の期間(過去 30 日以内)に送信されたメール
- 組織で Enterprise エディションをご利用の場合、セキュリティ センターを使用して [メッセージ配信] を表示できます。
管理者向けの移行オプション
考えられるすべての Google サービスを対象に 2 つの Google アカウントを統合できる包括的な方法はありません。ただし、メインの Google サービス(Gmail、ドライブ、Google カレンダー、Google コンタクトなど)の統合と移行については、いくつか方法があります。
下記の手順に加えて、以下の推奨事項を考慮してください。
- ユーザーの既知のシナリオをすべてテストしてください。
- ユーザーにチェンジ マネジメント計画を明確に伝えてください。特に、ユーザーのログイン方法に変更がある場合や、現在エイリアスとして登録されているアドレスからメールを送信してもらう必要がある場合は、その旨を伝えます。
注: ユーザー数やデータ量が少ない場合は、ユーザーが自身で対応できる方法を提供するのが最善の方法です。
手順 1: (省略可)移行先のアカウントの名前を変更する移行元の環境のアカウントが「メイン」アカウントであると判断された場合、移行先のアカウントの名前を変更することで、データを移行する必要性が最小限に抑えられます。
たとえば、[email protected] と [email protected] が同じユーザーに属しており、[email protected] がほとんどのデータを含む「メイン」アカウントであるとします。Domain Transfer のプロセス完了後、次のようにします。
- [email protected] の名前を [email protected] に変更します
- [email protected] を [email protected] のエイリアスとして削除します
- [email protected] の名前を [email protected] に変更します
注: user1 は [email protected] を使用してログインする一方で、[email protected] を引き続きアカウント エイリアスとして保持して、このアドレスを使用してメールを送受信できるようになります。
注意事項
- ユーザーのメールアドレスの変更による影響に関する記事をご覧ください。
- Domain Transfer が完了する前に受信したメールに返信する場合や、エイリアスがメインの外部アカウントの場合、ユーザーはエイリアスからメールを送信するよう Gmail を設定する必要があります。
- 外部のサードパーティ ID プロバイダ(IdP)で SSO を使用している場合、アカウント名を変更すると、ユーザーは以前のメールアドレスを使用してログインできなくなります。IdP は新しい完全修飾メールアドレスを送信する必要があります。接続されているアプリ(SAML または OIDC)を使用している場合は、それらの名前も同時に変更する必要があります。
Google Workspace のサービスごとに、2 つの Google Workspace アカウント間でのデータの書き出しと読み込みの方法が異なります。
詳細な内訳については、こちらのヘルプセンター記事をご覧ください。
Gmail |
---|
|
ドライブ |
|
カレンダー |
|
Google コンタクト |
|
Google サイト |
サイト所有者は、自身のサイトを新しいアカウントにコピーして他のユーザーと共有することができます。 |
Google アナリティクス |
ユーザーは、アナリティクス内のプロパティを、アカウント間で移動するなどの方法で整理し直すことができます。 |
YouTube |
チャンネルがブランド アカウントにリンクされている場合、ユーザーはチャンネルの所有者と管理者を変更できます。 |
ユーザーのデータが単一のアカウントに統合されたら、重複するアカウントを(データ保持ポリシーに沿って)削除またはアーカイブしてください。これによってディレクトリ リストがクリーンアップされ、ユーザーが 1 つの Google Workspace アカウントにのみアクセスできるようになります。
ユーザー向けの移行オプション
同じ環境に存在する 2 つの Google Workspace アカウントを統合する管理者主導のアプローチを確認したら、技術的な複雑さを排除できる、チェンジ マネジメント アクティビティを利用した別のアプローチを確認しましょう。
ユーザー主導のアプローチは以下のとおりです。
- 前提: 指定した期間(1 か月など)、ユーザーは両方のアカウントを引き続き利用できます。
- メール: ユーザーは「以前の」アカウントから「新しい」アカウントにメールを転送できます。
- カレンダー: 予定のオーナー権限を「新しい」アカウントに譲渡できます。
- ドライブ: ファイルのオーナー権限を「新しい」アカウントに譲渡できます。
推奨事項
- ユーザー自身による統合のタイムラインについて、明確に周知してください。
- 指定した期間の終了後、ユーザーが未移行のコンテンツを特定した場合に備えて、管理者は「古い」アカウントを一定期間(3 か月など)停止する必要があります。
注: コアサービス以外のサービスでは、オーナー権限の譲渡オプションを利用できない場合があります。その場合は、ユーザーがデータをダウンロードし、インポート オプションを使用して「新しい」アカウントで利用できるようにする必要があります。
エクスポート オプション
管理者とユーザーは Google データを書き出すこともできます。
組織
特権管理者は、組織のユーザーデータを Google Cloud アーカイブに書き出すことができます。
ユーザー
個々のユーザーは、Google データ エクスポートを使用して Google データをダウンロードできます。
注: 管理者には、データの統合に必要な時間に限り、移行元のアカウントに対してのみ、Google データ エクスポートを有効にすることをおすすめします。
関連情報
- アカウントの統合
- Google Workspace 移行サービスの一覧
- 離職した従業員のデータを保持するためのオプション
- Directory API
- GAM(コマンドライン ツール)